西景の家

DETAIL

東近江市の琵琶湖東側の湖東平野に残る水郷集落である伊庭に建つ、夫婦と2人の男の子のための住宅の計画。伊庭の集落は国の重要文化景観に指定されており、敷地周囲には古くからの民家も多く残る。この地で生まれ育ち、愛着をもつ施主は神戸に通勤しながらも、この伊庭に居を構えることを決意した。
敷地は西側に水田を挟み、500m 先に伊庭内湖を臨み、さらに琵琶湖側の比良山地まで見渡すことができる。この美しい風景を住宅に取り込むことが求められたが、内湖と水田故に遮るものがなく、強烈に降り注ぐ西日は、水田からの照り返しもあり、対策は必須であった。
西日を遮蔽しながら、西側の風景を取り込むという、相反する条件を手掛かりとして、建築の構成と配置を検討した。個室や水回り等で構成した1.5 間幅の南北2つのヴォリュームを、西側の風景を取り込むようにハの字に並べ、その間にLDK の空間を設けている。配置角度を若干北側に振り、南側のヴォリュームは2階建てとし、深い軒と西側に突出させた袖壁により、夏の午後からのLDK への西日を遮蔽している。それぞれのヴォリュームにかけた深い軒により、西日だけでなく、夏は日射を遮蔽し、冬はキッチン上部のハイサイドライト(午前)、フリースペースの横長窓(午後)から、LDK に日射を取得している。
南北2つのヴォリュームに耐震壁を集約しており、LDK はオープンな空間としている。南側の2階建てのヴォリュームに対して、北側の平屋ヴォリュームからLDK 方向に一体的に屋根を掛けることで、1-2階のすべての部屋がLDK に直接面する構成としており、家族の気配を感じながらも、建具の開閉で必要に応じた距離感をとれる計画としている。2つのヴォリュームに掛けた片流れの屋根は、2つが寄り添うことで、切妻や入母屋の伊庭の風景に馴染む。
伊庭を愛する家族が、この地の豊かな環境を享受しながら、新たな暮らしを楽しんでいくことを期待している。

用途

住宅

所在地

滋賀県東近江市

竣工

20196

規模

145

区分

新築

構造

木造

写真

河田弘樹