レトロ68

DETAIL

心斎橋から程近い長堀通りに面する1963年竣工のRC造4階建てビルの再生計画。元々は1階に時計店が店を構え、上層階はオーナー住居として使われていたビルを、テナントビルとしてコンバージョンするものである。
年月を経て味わいを深めたタイル張りのファサードや既存の躯体は残し、一方で内部には断熱補強を施し、木製の内窓を新設するなど、ワークスペースに求められる環境性能をアップデートしている。
インテリアは、断熱に影響のない範囲でRC躯体を現しとし、その素材感と親和性のある木毛セメント板やカチオンをベースとし、対照的な平滑さを持つ塗装仕上げを組み合わせることで、素材のコントラストが際立たせた。設備配管は露出とし、配置、ディテールを調停することで、更新性を保ちながら意匠として昇華させた。
各テナントを仕切る壁には木製ガラス建具とし、独立したオフィスでありながら、テナント同士の活動が自然と可視化されるシェアオフィスのような緩やかな関係性を意図した。
現在、弊社が1階に入居している。自社オフィスの内装は、構造用合板で製作した本棚や模型の展示棚を用いて、空間を緩やかに仕切る構成とした。メインエントランス側にPCスペースを、奥側に打ち合わせスペースを配置している。この打ち合わせスペースは、反対側の鰻谷南通りにも面しており、両側からアクセス可能な動線としている。空間を区切る合板の棚には建築模型などが並び、打ち合わせスペース自体がギャラリーのようにも機能する設計となっている。
上層階には別の設計事務所やランドスケープ事務所、税理士事務所が入居しており、定期的な交流会や勉強会などが開催される、分野を超えたクリエイティブな相乗効果を生み出す新たな拠点となっている。

用途

テナントビル

所在地

大阪府大阪市

竣工

20235

規模

297

区分

リノベーション

構造

RC

写真

河田弘樹