DETAIL

東大阪を拠点に高い技術力をもつ建築・機能金物メーカーのオフィスと工場の計画。敷地は、かつて多くの町工場が立ち並び、現在は戸建て住宅への建て替えが進むエリアに位置する。道路を挟んで東西に二分されており、西側に3階建てのオフィス棟、東側に6階建ての工場棟を計画した。
本計画では、事業基盤を支えるため容積率を最大限に活用し、空間利用を最大化することが求められる一方で、周辺の住宅地に対するボリューム感を緩和することも課題となった。そこで、建物の大きなボリュームを分節し、小さなスケールの諸室やバルコニーをファサードから突出させることで輪郭に凹凸を与えている。ガルバリウム鋼板と大きなガラス面で構成された突出部は、内部では執務スペースの拡張部や社長室、社員のキッチンスペースとして機能する。周辺への圧迫感を和らげると同時に、開口部を通じて企業の活動を街へと表出させる「まちに対する顔」としての役割を持たせた。
オフィス棟である西棟の内部は、3階建てのスキップフロア構成としている。中央にガラス張りの会議室や階段を配置し、各フロアが半層ずつズレながら視覚的・動線的に連続することで、部署間のコミュニケーションを促している。インテリアは鉄骨の構造や設備配管を現しとし、そこに木のフレームやラワン合板を用いた造作家具を挿入した。鉄骨の無機質な骨格に木の質感を加えることで、ヒューマンスケールなワークプレイスを意図している。執務エリア専用の階段を設けて来客動線と交錯しないよう配慮しつつ、社長室をはじめ各諸室をガラス張りとすることで空間全体を緩やかに繋ぎ、「風通しのいい企業」を目指す同社の姿勢を空間として表現した。
工場棟である6階建ての東棟は、限られた敷地面積に求められる機能を納めるため、空間を「折りたたむ」ように積層させた構成とした。1・2階および3・4階はそれぞれ二層吹抜の工場・倉庫とし、大型の設備や資材のストックに対応する空間を確保している。この吹抜空間に隣接する形で、1〜4階に事務所や更衣室、トイレ、会議室などを集約して配置している。また5・6階は天井高の必要のない作業や保管を行う工場・倉庫を積層させることで、都市部における高層型の生産拠点として空間の有効活用を図っている。

用途

オフィス・工場

所在地

大阪府東大阪市

竣工

202012

規模

860+1545

区分

新築

構造

鉄骨造

写真

河田弘樹