かく動物病院2
DETAIL
私たちが以前に設計を手掛けたビルテナント病院から新築移転となった、1階を動物病院、2階を住居とした動物病院の計画。以前の病院では、動物も人間も心地よく集える「公園」を空間のコンセプトとしていたが、今回の計画でもその考え方を受け継ぎ、公園を構成する植物やコンクリートブロック、そして遊び心のある落書きのようなサインといった要素を、新たな建築の随所に散りばめている。
敷地は風致地区に位置しており、屋根の形状や勾配、軒やケラバの寸法、外装の素材や色彩に至るまで、形態に関する非常に厳しい法的規制が設けられていた。この画一的になりがちな条件に対し、本計画では1階の風除室・待合室の一部と、2階住居のLDK部分の屋根を持ち上げた「腰屋根」を採用している。これにより外観に変化を与え、夜間にはそこから漏れる明かりが街並みに柔らかな表情をもたらす。内部空間には腰屋根によるハイサイドライトから自然光や空の風景を導き入れており、待合室や住居のLDKともに、木の質感を活かした天井に上部からの光が広がり、明るく開放的な空間となっている。
1階の動物病院のプランにおいては、道路側に面して開放的な待合室を配置し、その奥に診察室、さらに奥に処置室を設けている。この処置室をコアとし、そこから3室の入院室や手術室、更衣室などの各室へスムーズにアクセスできるようにして効率的な動線構成としている。
この道路側に面した待合室は、木製建具で構成して外部にひらき、東側の道路に面した駐車場との間に、アプローチに沿って細長い植栽帯を設けている。この植栽帯は、道路や車に対する緩やかなバッファとして機能するだけでなく、植栽越しに院内の雰囲気をまちへと伝えるとともに、室内空間にも豊かな緑の景色を取り込んでいる。
厳しい敷地条件や制約を紐解きながら、前回のプロジェクトで共有した空間の記憶を新たな空間へと昇華させた建築である。まちの風景に溶け込みながら、地域の人々と動物たちを優しく迎え入れる、新しい「公園」のような動物病院となることを期待している。
- 用途
動物病院
- 所在地
京都市左京区
- 竣工
2023年2月
- 規模
258㎡
- 区分
新築
- 構造
木造
- 写真
河田弘樹

