ENN HYOGO

DETAIL

阪神尼崎駅から徒歩5分、尼崎城を臨む緑豊かな公園に隣接する40戸のシェアハウス計画である。周辺環境を内部へと積極的に取り込み、居住者間の自然な交流を育む空間を目指した。
建物全体は中庭を核とした「ロの字型」の平面構成としている。中庭は各所へ採光と通風をもたらす環境装置であると同時に、居住者が日常的に立ち寄れる屋外の居場所として機能する。また、中庭に面した木柱による連続窓は、室内と中庭を視覚的に一体化し、回遊動線に高い開放感をもたらしている。さらに、中庭を囲む2つの階段が1階と2階を繋ぐ立体的な回遊動線を創出し、偶発的な出会いや挨拶が自然と生まれる設計とした。
居住者がメインに集うLDKは、公園の緑を臨む南西側に配置した。公園側には吹き抜けを設け、カーテンウォールのような大開口とすることで、室内に居ながらにして公園の風景と街に連続する開放的な空間としている。LDKの中心にはプランターボックスと一体化した造作ベンチを配置し、室内で植物を囲むくつろぎの場を創出した。さらに、コンクリートのキッチン、耐力壁を覆う下見張りの高圧木毛セメント板、窓フレームのラワン合板といった素材感のある要素を植栽と複合的に構成することで、空間に重層的な魅力をもたらしている。
各居室はプライバシーを確保する場としつつも、あえて面積と設えを最小限に留め、生み出したゆとりを共用空間の充実に充てている。LDKや中庭に加え、2階には吹き抜けを介して公園を臨むカウンタースペースなどを配置。複数人で食事を楽しむ場、風を感じて休息する場、景色を眺めて作業に集中する場など、随所に多様な居場所を散りばめ、居住者が気分や目的に合わせて選択できる豊かな環境を整えた。
このシェアハウスには、他者との交流を求める日本人に加え、日本語や日本文化を学びたい外国人も多く集う。館内の多様な居場所を介して、互いの目的が交差するコミュニティが形成され、国籍や文化を越えた多様な交流が日常的に育まれている。

用途

シェアハウス

所在地

兵庫県尼崎市

竣工

20242

規模

637

区分

新築

構造

木造

写真

河田弘樹